今日は、令和4年度 第11問について解説します。

令和4年度賃貸不動産経営管理士試験 第11

原状回復ガイドラインにおける借主の負担に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

 

① 補修工事が最低限可能な施工単位を基本とするが、いわゆる模様合わせや色合わせについては、借主の負担とする。

 

② タバコのヤニがクロスの一部に付着して変色した場合、当該居室全体のクリーニング又は張替費用を借主の負担とする。

 

③ 畳の補修は原則1枚単位とするが、毀損等が複数枚にわたる場合、当該居室全体の補修費用を借主の負担とする。

 

④ 鍵は、紛失した場合に限り、シリンダーの交換費用を借主の負担とする。

 

 

 

解説

「原状回復ガイドライン」に関する問題です。

国土交通省のサイトもあわせて確認するとより理解が深まりますので、よろしければぜひ解説と一緒にご確認ください。

 

それではさっそく選択肢をみていきましょう。


 

選択肢 ①

補修工事が最低限可能な施工単位を基本とするが、いわゆる模様合わせや色合わせについては、借主の負担とする。

 

×不適切です。

原状回復ガイドラインにおける、損耗箇所の負担の範囲に関する基本的な考え方は、次の通りです。

・可能な限り毀損部分の補修費用相当となるよう限定的なものとする(補修工事が最低限度可能な施工単位を基本とする)

・模様合わせ、色合わせについては、借主の負担とはしない

原状回復ガイドラインには、この考え方にもとづいた、畳、フローリング、クロスなどの部位別の負担単位が提案されています。

つまり、補修工事が最低限可能な施工単位を基本としますが、いわゆる模様合わせや色合わせについては、貸主の負担となります。よってこの選択肢は不適切です。

 


 

選択肢 ②

タバコのヤニがクロスの一部に付着して変色した場合、当該居室全体のクリーニング又は張替費用を借主の負担とする。

 

×不適切です。

クロスについて、借主の負担範囲は原則として㎡単位ですが、借主が毀損させた箇所を含む1面分までは借主負担とすることができます。

ただし、タバコ等によるヤニや臭いについては例外で、部屋全体がヤニで変色したり、臭いが付着した場合には当該居室全体のクリーニングまたは張り替え費用を借主負担とすることができます。

ですので、この選択肢は適切かも…と思ってしまいますが、あくまで「クロスの一部が変色」しているにすぎず、タバコによって居室全体のクリーニングまたは張り替えが必要になるわけではないので、原則どおり毀損させてしまった(変色した)クロスの一部の原状回復費用が借主負担となります。

つまり、タバコのヤニがクロスの全体に付着して変色した場合、当該居室全体のクリーニング又は張替費用を借主の負担とすることができます。よってこの選択肢は不適切です。


 

選択肢 ③

畳の補修は原則1枚単位とするが、毀損等が複数枚にわたる場合、当該居室全体の補修費用を借主の負担とする。

 

×不適切です。

ガイドラインによる部位別(畳)の負担と経過年数の考慮について、まとめシートでは以下の通り解説しています。

畳について、借主の負担範囲は原則として1枚単位ですが、毀損箇所が複数枚にわたる場合は、その枚数分を借主負担とすることができます。居室全体の補修費用までは借主負担となりません。

つまり、畳の補修は原則1枚単位としますが、毀損等が複数枚にわたる場合、その枚数分の補修費用を借主の負担とすることができます。よってこの選択肢は不適切です。


 

選択肢 ④

鍵は、紛失した場合に限り、シリンダーの交換費用を借主の負担とする。

 

△(他の3つに比べれば)適切ということができます。

〇でも×でもない書き方になってしまいました。

この選択肢は適切というのが少し難しい部分がありますが、他の選択肢がより不適切であるというのを鑑みますと、正解の選択肢はこれでしょう。

その理由を説明します。

ガイドラインによる部位別(鍵)の負担と経過年数の考慮について、まとめシートでは以下の通り解説しています。

鍵を紛失した場合、シリンダーの交換費用は全額借主の負担となります。

ただし、ガイドラインには、不適切な使用による破損があって取替する場合には借主の負担とする旨の記載がありますので、シリンダーの交換費用を借主の負担とするのは紛失の場合に限られないでしょう。

つまり、鍵は、紛失した場合には、シリンダーの交換費用を借主の負担とすることができます。


 

以上から、正解は選択肢④となります。

なお、公式の正解番号表についても、正解番号は④となっています。

 

原状回復ガイドラインに関する問題は例年複数問出題されています。

また、適切(または不適切)なものの個数を問うものはR4年、R5年試験において連続で出題さ

れています。

ぜひ関連解説もあわせて理解を深めていただければと思います。

 

★関連解説★

原状回復ガイドライン(R3年 第9問)

原状回復ガイドライン(R4年 第10問)

原状回復ガイドライン(R5年 第9問)

 

 

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